溢れそうなこの想いを、言葉にしたくて。

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長い髪を冷たい風にさらさらと流して、長めのスカートの裾が歩幅にあわせてふわふわ。 鼻のあたまを赤くして、両手を口元に当てている。指先を暖めているみたいだ。 「センパイ」 僕は声をかける。薄暗い廊下からセンパイがこっちを見て、ひらひらと白い手を振って微笑んだ。それから軽い足取りで中庭の戸へ駆け寄り、僕らは向かい合って微笑んだ。 「お待たせ、担任の話が長くて」 大人びた表情で肩をすくめるセンパイに、僕はうっとりとしながら「待っている間も退屈ではないですから」と返す。 僕らはふたつの木の間の根本に腰かけた。するとセンパイがふっと顎をあげ上を見る。長い髪がはらはらと肩からこぼれ、僕は思わず手を伸ばしてすくいあげた。 「ねえ、見て。やっぱり私はもみじには青空が似合うと思うの」 冷え込んだ空気に澄みきった青空。そこに真っ赤なもみじが小さな手を開き、広がる。 「はい、僕もそう思います」 僕はそう答えながらも空を見上げることはせず、センパイの髪の毛を両手でまとめて撫でていた。 指の間からこぼれていきそうで、何度もすくううちにセンパイの首筋を指先が撫でてしまった。
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