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ぽっかりと視界の開けた、やけに高い天井――。
だがそこにふさわしくした豪華なシャンデリアなどはなく、がらりとした広間は調度品のたぐいがやはりどこにも見当たらない。
ただひたすら、ひっそりと静まり返っていた。
かろうじて床面一杯に敷き詰められた赤い絨毯(じゅうたん)にぽつぽつとだけ、かつてそれらがあった跡(あと)だとおぼしき影が、その形のままに赤黒く残っているくらいだ。
あとそれが本来のこの床の色であったのも見て取れるが、寡黙なサングラスのクロフク(黒服)は地面からこの視線をまたどこか遠くの壁面へと向ける。
それがある一点を見つめているらしいことをこのすぐ側からそれと察する、元クライアントにして今はこのパートナーとなる若い娘、ルナがみずからもそちらを見上げながらに言うのだった。
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