*プロローグ*

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何もないガランとした部屋にはたった一つの小さな窓しか無かった。 仕切りもないただポツンと設置されたトイレに、布団として使用するマットと毛布があるだけで其処にはそれ以外の何もない。 部屋の天井の隅には監視カメラ。 隣の部屋から聞こえる悲鳴や唸り声。 壁や固いプラスチックのようなもので作られた小さな窓には痛々しい程の爪の痕のようなものが残っている。 ー嗚呼、此れが。 此れが今私の手に入れた世界の全て。 冷たい牢獄のようなちっぽけな檻の中、私は本来手に入れた筈の"其れ"を思い出し、泣くのだ。 ねぇ、何故こんなことになってしまったの? 貴方は何処? 私は貴方と何時までも傍に居ると約束をしたのに。
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