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放課後の道場。
初めての試合を明日に控え、緊張と不安をどうしても拭いきれない徹は他の部員が帰った後、ひとり弓を引いていた。
「兼田? まだ残ってるのか?」
「山根先輩」
聞きなれた声に徹が後ろを振り向くと、道場の入り口から徹より一年上の山根が顔を覗かせていた。
「すみません……もう少し練習をしたくて。戸締まりはしておきますので山根先輩は先に帰られてください」
「いや、戸締まりは別にかまわないけど。練習、みてやるよ」
「――――えっ!?」
「何? 俺じゃ不満ってか?」
「い、いえ……そんなことは」
イタズラっぽく笑う山根に徹が照れたように顔を俯ける。
(不満どころか嬉しすぎて緊張するんだけど)
実は徹は山根に憧れて弓道を始めたのだ。
憧れの先輩に見られていると思うと、ついつい体に余計な力が入ってしまう。
試合前とはまた別の緊張から固くなっている徹の肩に、山根の手が触れた。
「――わわっ!」
驚いて思わず後退る徹に山根が苦笑する。
「そんなに驚かれたら地味に凹むんだけど……イヤだった?」
「いっ、イヤじゃないですっ! ちょっと驚いただけでっ……」
真っ赤になって弁解する徹を、今度は優しげな笑みで見つめながら山根が徹の背後に回る。
「先輩?」
山根は後ろから包み込むように弓を引く徹の手を取った。
徹の背中に山根の体がぴったりとくっついている。
胴着越しに背中から伝わる山根の体温に、徹の体温も上がった。
――――青春の一ページ(笑)
じれじれしてるのって、こっちまで一緒にじれじれしてしまいます
( 〃▽〃)
とっとと付き合えばいいのにとか思うのですが、その一方で不器用な二人の関係をもっと見ていたいような……
BLに限らず、恋愛ものの醍醐味ですねぇ
(*´ω`*)
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