二章

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「うっわわわ~~!」  両手持ちの剣は、右手に。  余った左手は、バタバタと飛べない鳥のように振り回した結果、猫ウサギの尻尾に絡まり、軽い妖を振り回す結果になった。  猫ウサギがそこらの木に爪を立て、なんとか体勢を立て直したものの、涙目で叫ぶ。 『うぁ、子狸、弱(よっわ)!  細いし、チビだし、見た目からして、あんまり強そうでなかったがな!  白銀の妖は、世界一堅いのだ!  強力な酸で溶かすか、特別な武器で切りつけない限り、大口が倒れるか!』  ぎゃあぎゃあと騒ぐ猫ウサギに、紅蓮もまた、怒鳴り返す。 「知らねえよ! そんなコト!  それに弱そうだったら、なんだってオレなんかに助けを求めて来るんだ!?」  紅蓮の至極もっともな質問に、猫ウサギは怒鳴った。 『貴様、去年、街の武芸大会で準優勝したろ!?  人間の中では、ちょっとはマシだと思ったんだ!!』 「へ?」  なんで、妖のくせにそんなこと知ってるんだ!?  と聞き返す間も無かった。  白銀の球体が、また、ぐぐぐっと迫って来る。  紅蓮は舌うちをすると、握り締めていた大剣を背中に戻し、木に引っ掛かった猫ウサギの爪を器用にはずして、更に後ろに投げつけた。 『痛たたた! 何するんだ!』  なんて、猫ウサギの苦情を、彼はまるで聞く気はないようだ。  もう一度白銀の球体との間に割って入ると、大剣の柄(つか)に手をかける。  どうやら、さっき切りつけて跳ね返された剣を再び使うつもりらしい。  紅蓮の様子を見て、猫ウサギは、叫ぶ。 『莫迦モノ~~  普通の剣では切れぬと言ったではないか!  少しぐらい吾の話を聞け!』
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