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「惚れた? 嫁?
オレ、男だし、人間だぜ?
……寝言は、寝てから言おうな?」
『吾は本気だ!
それに、愛に性別は、関係ない!』
「いや、力一杯、関係している事だと思うけど」
思わず、ぼそっと突っ込んだ紅蓮の声を無視して、猫ウサギは、言葉を続けた。
『人間だろうと、何だろうと、一生愛でて、可愛がってやる。
あんまり贅沢はさせてやれないかもしれないが、それでも吾には食うに困らぬぐらいの蓄えがあるのだ!』
妖が食うに困らない蓄えとは、何だろう?
動物と言わず、妖と言わず、干し肉になった得体のしれないものが、洞窟一杯にため込まれている様子しか想像つかず、なんだかオソロシくて、とても聞けない。
とりあえず、この小さく可愛い妖が、自分に本気になったらしいことは、紅蓮にも判った。
……けれども。
紅蓮にだって、好みがあるのだ。
少なくとも、それは、もふもふの獣でも、オスでもない。
すぐさま断ろうとは、したのだが。
冷たく拒否すれば、その丸く可愛い目から、涙をだくだくと流されそうで、言葉を選ぶ。
「う、う~~ん、とぉ、オレが嫁?」
それでもなんとなく、もふもふむの下半身辺りに視線が行ってしまうのを見て、猫ウサギは、ぷぃ、と横を向いた。
『ふ……ふん!
モノが小さくて満足出来ぬ、と言うなら百歩譲って、吾が嫁でも構わないぞ』
「……そこら辺、百歩譲ってくれちゃうんだ?」
『惚れた弱みだ、仕方なかろう。
貴様が好きだ。
何でも望むことをしてやろう』
だから、吾とともに居ようと、猫ウサギは、上機嫌に笑い……
紅蓮は、何だかだんだん断れない深みにハマってゆく気がしてきた。
真剣にくどき始めた、猫ウサギの言葉をむげにも出来ず、困っていると、鞘に収まってる剣が呆れたような声をだした。
『……あなたには、これからご予定があるはずでしょう?
こんな所で妖と遊んでいるお暇があるなら、是非ご前進を。
長い間風雨にさらされていたら、お風邪を召してしまわれます』
「あーー、そう! そうだった!」
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