二章

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 紅蓮は、剣に助けられた話題を拾い、すまなそうな顔をして猫ウサギを見た。 「これから、オレは、訪ねてゆくヒトがいる。  悪いがお前とは、ここで別れよう。  今度は、あんな、デッカイ妖に追いかけまわされんなよ」  と。  いそいそと手を振り、離れようとする紅蓮の胸に、猫ウサギは、当然のように飛び乗った。 『どこに行く!  吾も共に連れて行け!』 「う~~んと。連れていきたいのは、山々、なんだけど……」  とか、言いつつも、紅蓮は、猫ウサギを自分から引き離す気満々だ。  爪で、しっかり引っ掻かった猫ウサギをぶにょーん、ぐにーんと引っ張りながら言葉を続ける。 「そいつ、普段は妖の狩人、なんだってさ。  そんな所に、お前なんて連れて行ってみろ!  手土産と間違われて、あっという間に毛皮にされてしまうだろう?  武芸大会三連覇中の猛者の上。  さっきの大口よりも何倍も強い、竜専門の狩人って言うし。  お前を助けようとして喧嘩になっても、オレは、勝てる自信がない」 『なんと!  貴様は吾が、そやつに殺されそうになったら、命を賭けて、戦ってくれると、申すのか!  自分よりも強い相手に、立ち向かってくれるというのか!?』 「い……いや、オレはそんなの……」  一言だって、言ってない。  と、続けようとした言葉は、猫ウサギの『うっわ~~~ん』という泣き声にかき消された。 「ど……どうした!?」  紅蓮が、慌てて猫ウサギの顔を覗きこんでみると。  白銀の妖の紅い目から、ぽろぽろと、ビックリするような大粒の涙が、転げ落ちる様子が見えた。 「……!」  紅蓮が、今、最も見たくないなぁ、と思っていた猫ウサギの涙、だった。  慌てて、ぽふぽふと、銀色毛皮の背を軽く叩くと、猫ウサギはすんすんと鼻を鳴らした。 『いっ……今まで……俺をそんな風に……親身に気遣ってくれたヤツなんて……っ。  だ……誰もっ……いなく……て。  貴様に……気にしてもらえて……かなり……うれし……』  あれ? 今、こいつ。  ちょっと口調変わった?
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