三章

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「それにしては、今、結構理性的に話をしているじゃないか。  コレだったら、大丈夫。  お互い別の部屋でぐっすり眠れば、明日の朝にはもっとすっきりさっぱりするはずで……」  何が、大丈夫、なのか。  軽く受け合う紅蓮に、柊は、不機嫌そうに眉を寄せた。 「どうしても去年の武芸大会で見た時のまま。  ヒトの姿の『柊』を見たい。  抑制剤を無効化した責任を取ると言ったのは、貴様だ。  本当は、抑制剤は、朝まで持つはずなのを、無理に無効化したのだ。  話を続けるだけの理性は、もう少しなら残っている……だんだん辛く、なっては来たが……」 「そうだっけ?  でも、なんで、薬一つで猫ウサギみたいな、妖になるんだっけ?」  何だか、すげぇよなぁ、と驚く紅蓮に、柊は睨んだ。 「なんだ、貴様、そんなことも忘れてしまったのか!?」 「え…っ! ええと」   もし、柊が本気で怒ったら、ものすっごく怖いに違いない。  飲み慣れない酒を飲んで酔っぱらい、全く聞いていませんでした、とは死んでも言えず。  必死に、柊の『説明』を思い出そうとして、頭をひねる。  そんな紅蓮に、柊は深々とため息をついた。 「……俺は、元々この国の人間ではなく、普通の人間でもない。  外国の……不妊で困る人間のために繁殖された、半妖みたいなものだ、と言った」 「うんうん、そうだった」 「人間以外の力を借りても、なんとしても跡取りの子どもが欲しい、と願うのは大抵、王侯貴族か、一子相伝の技を延々と伝えてゆく芸能関係の人間ども。  そいつらが、俺の本来の相手だ」 「そうだろうね」
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