第一編 プロローグ

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?月?日 ?曜 天界 枢要徳元老院殿堂・源流  東洋と西洋・・・その両方を併せ持つ巨大な建築物が見る者を圧倒した空間。そして、天界に於いては、世界に五ヶ所ある特別な施設。  すると、一つの光が建物の前に飛来し、ゆっくりと入り口へ向かう。  光は入り口に到達すると、 光量を増して人の形になる。人影は翼を広げて感触を確かめる。 鈴音「・・・・・・」  黒い長髪・・・黒い瞳・・・和装束を身に纏った鈴音(すずね)は、緊張した面持ちで、前に進む。  足を踏み入れた先は、無数の柱、代わり映えのしない壁や床・・・それは無限に続くよう錯覚させる回廊。実際、正規の手続きが無ければ先に進むことはできない聖域。  10分ほど歩くと、開けた空間に出る。  天蓋の窓から光が差し込み、部屋を照らす。円形の舞台を取り囲む二段あるアーチ状の机、光に照らされた空間は荘厳な雰囲気を醸し出していた。  鈴音がその場所に圧倒されながらも周りを見る。  人影は見当たらず、先方はまだのようだ。本来、自分のような身分の低い者が立ち入れる空間ではない。今回はある一件により、出頭要請を受けた。  ビクッ!・・・鈴音は気配を感じると、かしづくように膝を床へつける。 頭上より3つの光が舞い降り、それぞれ一番上の段の机で止まる。すると、光が強まり、互いの間を開けて、三体の影が現れる。鈴音からは顔を拝見できないが、間違いなく・・・彼女の待っていた“神徒(しんと)”。
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