第1章 禁断の恋の始まり

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「だって、ちゃんと言ってくれてない」 「え、言ったじゃん」 「全然ちゃんとしてないぃぃ」 そっかなあ。とけいちゃんは浅く溜息をついてから、あたしの方を見た。視界にはお互いの顔しか映らないくらい、近づいてくる。こんな至近距離で、真顔で見られると、あたしは蛇に睨まれたカエル。 けいちゃんの目線に縫いとめられたように動けない。けいちゃんは、そのままあたしに囁く。 「好きだよ、千帆。だから俺の傍にいて。俺と、付き合ってください」 「…は、はい」 返事をしたあたしが、恥ずかしくて俯こうとするその顎を、けいちゃんは素早く捉えて上向かせる。 またけいちゃんの顔が近づいてきたと思ったら、そのまま唇を重ねられた。 こうして、あたしとけいちゃんは恋人同士になった…。 思い出すだけで、にやける。ほわんほわんと、今なら空も飛べそうなくらい、気持ちが舞い上がってた。 でも、幸せを満喫できたのは、最初の2ヶ月だけ。大変なのはこれからだった。
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