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……絶対におかしい。俯いたまま何も言わない。
「明星?」
心配になった俺は明星の顔を覗きこむ。……と、
「ふぇ……ひっく……っう……」
どうやら泣くのを我慢してたらしい。ボロボロと大粒の涙を流し始めた。
「ああ……痛かったね、こんな怪我して。次からは気をつけて?」
「……っク……ふっ、やーだ、ふぇ……」
いつもなら素直にはいって答えるのに。
「明星、気をつけてって言ってんの。心配だから。分かった?」
「やだぁ…… 空くんのばかー」
何で俺が馬鹿なんだ……俺が悪いのか?
泣きじゃくって何も言わない明星の手を引いて、俺の家に向かってゆっくり歩く。
「俺、何かしたかな?」
問いかけてはみるものの、ブンブンと首を振るばかり。悩みでもあるんだろうか。転ぶ前にはいつもと同じ笑顔で走ってたのに。
女の子の涙にはかなわない。というよりも、明星の涙は見たくない。泣かないでよ……俺まで元気がなくなってしまうから。
そりゃあ泣き顔だって犯罪的に可愛いけど、でもやっぱり大好きな女の子には……笑っててほしい。
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