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明星をリビングのソファに座らせて、急いで救急箱を取りに行く。絶対に動くなという言葉に、少しは落ち着いたのか、笑顔で頷いてくれた。
救急箱を抱え、急いで戻る。
「消毒するよー」
「痛いの嫌だからいらない」
「だーめ。我慢して。ばい菌入っちゃうよ」
「はーい……」
「ん、いい子。足出して」
優しく言って頭にポンと手をのせたとたん、
「ふぇ……」
────え? また泣き出してしまった。
「あ、え、何で? どうした足そんな痛いの?」
「ヤダ! 空くんの馬鹿!」
……いや、だから何で俺なの? 納得いかないんだけど。
「何かあったの? 言ってくれなきゃ分からない」
「こど、も……扱……い……しな、いで……」
泣きながら、消え入りそうな声で訴えてきた。何でいきなりそんなこと……ていうかもしかして。
「それでずっと泣いてたの?」
「だってあたしの方が年上だから、しっかりしなくちゃ……」
「何か言われたりした?」
「明星は子供だ……ってみんな言う……」
まぁ……ね、間違いではないけど。
「しっかりするって決めてきたのに、いきなり転んじゃったから……」
ああ、なるほど。
「悔しかったんだ?」
「だって! 空くんもいつも、」
違うよ。別に子供扱いしてる訳じゃなくて。明星を見てると可愛くて、口調が優しくなったり、気がついたら頭を撫でてたりしてるんだよね。それは決して馬鹿にしてるつもりはない。本当に可愛いと思っているから自然とそうなってしまう。
「気にしてんの?」
「だ……て、よく考え、たら……」
「甘えただしすぐに泣くし、寂しがりだし?」
「そ……思って……るの?」
わざと指摘してみると、俺の制服を両手で握りしめ、顔をジッと見てきた。
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