学校祭が終わる

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やけに長く感じた演奏がやっと終わった 生徒は閉会式に出るため体育館で待機してくださいというアナウンスが流れる 生徒たちはわらわらと、自分の学年の列に並んでいく 「誤解されんじゃねーの、一緒にタピオカ行ったとか」 荒川が移動する前にふと、そう言ってきた それは多分濱野くんに私が荒川のことを好きだって思われるって意味だと思うけど 「良いんだ別に、その方が好都合だわ」 我ながら上手い返しだ、と納得したけど 荒川は何とも言えない顔をした  「…あ!迷惑だったらごめん!」 そりゃそうだ誤解されていい気持ちになるわけがない 私は自分のことしか考えてなかった 「いや……「荒川ー!ちょっと手伝えー!」 荒川は担任に呼ばれ、何かを言いかけながら去っていった いや……の続きは何だ? いやほんとよ!なのか いや迷惑ではないなのか まあいいか、どっちでも だってタピオカ飲んだのは事実なのだから ーーーーー 閉会式も終わり、会場の掃除も終わり 帰宅となった ゆきと私は玄関前の外階段に座って少し話すことにした 「いやぁーまじずっと田畑の顔見てた」 ゆきが肩をまわしながらそうこぼす 田畑の顔は肩が凝るらしい 「まあいいじゃん!好きな人とか居ないわけでしょ?」 「まあそうだけど、あやか結局ずっとお化け屋敷の出口にいたの?」 「いや…濱野くんとあの先輩が一緒に出てきてショッキングすぎて」 「はぁ!?」 ゆきの顔が般若も驚くほどの顔になった 「いやまじあいつ前から嫌いなんだよ、ネチョネチョ男にくっついてさ、濱野も引っかかったかー」 そうため息を一つついてビールなの?って感じの飲みっぷりでコーラを飲み干した その貫禄って一体どこから出るんだろうか 「だからあんなブチギレながらクイズ大会やってたのか!」 「え、そんなにキレてた?」 「いやキレすぎだろって周りみんな言ってたわ」 自分が思っている以上に私は顔に出るのかもしれない いやきっとそうなんだ。 だからいつも見透かされるんだ 「でも言う割に凹んで無くない?失恋したようなもんじゃん」 「あーーー……」 その後の荒川の話は まだしないでおこう 心の整理がつくまで 「新しい恋見つけりゃいいしね!」 そう言って私もコーラを飲み干した 「さっ帰ろうか」 と、立ち上がってお尻をほろって歩き出したところで「原野」と呼びかけられて 見れば荒川で 「迷惑ではない」 ただそれだけ言って、立ち去った なに今の、と言うゆきに なんて説明したらいいのか そんなこと考える余裕なんてあるわけなかった
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