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タピオカを買って、廊下の窓際に寄りかかって2人で飲んだ
なかなかに珍しい組み合わせな気もしている。というか確実に珍しい組み合わせだ。
「クイズなんであんなキレてたの」
「いやキレてないけど…あの先輩がキャッキャ応援してたのただイラついて」
「キレてんじゃん」
ハハッと笑って前を向けば、後輩の女の子がチラチラとこちらを見てヒソヒソしていた
なぜ見られているのか良くわからなかったけど
周りが一瞬静かになって聞こえた会話が
「ほらー押せばいけたんじゃん」
だった
これはなんだ
荒川のことを好きな後輩で
隣にいる私と付き合ってると勘違いして
あんなんで良いなら押せば誰でもいけたのでは
という
私への陰口か?
「荒川…君のファンが勘違いしてるっぽいから私行くよ」
申し訳なくなってその場を去ろうと一歩歩いたら
腕を掴まれてそのまま引っ張られた
「別に好かれても良いことないしかえって好都合だわ」
そう言って手を離してタピオカをひと吸いした荒川に
「そうなんだ」とそれだけ言って私もひと吸いした
ちなみに心臓は破裂したと思う。
なに今の
今のなに
腕を掴んで引き戻されるなんて
ドキッとしないわけがないのに
なぜこいつは普通の顔でそんなことを出来るのか
私が何も思わないとでも思っているのか
「ドキッとしてんなよ」
「なっ……!」
いたずらな顔して横目で見下ろされた
私はいま、何を試されているんだ?
「びっくりしただけ」
そう言って目を逸らす。心臓は多分もう負荷が重すぎて機能してない。
「あっ……そろそろ漫才始まるんじゃない?戻ろうか体育館!」
動揺を抑えたいのと、何かを見透かされそうなのと、とりあえず場所を変えたくてそう言えば「そうだな」
と歩き出した
あるくのが速い荒川に、やや小走りでついていく
心拍数が余計にあがる
いやこれは一緒に歩きたくないのか?
ここへきて、恥だと気付いたのか?
ネガティブな思考が過り、小走りをやめれば、荒川は少しずつ離れていった
何を考えているのか、何も考えていないのか
多分何も考えて無いんだと思うけど
距離が離れて、もう一緒に歩いているとは思えないところまで行ったとき、荒川はピタッと止まって振り返った
「え、歩くの遅」
ノンデリカシーのそんな言葉も
私にはすごく嬉しかった
隣で歩くことが前提だったから
「荒川が早すぎんだよ」
大ニヤケをうっかりかましたけど、笑顔ってことにしておこう
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