1人が本棚に入れています
本棚に追加
「原野さん、次の教科何だっけ?」
休み時間、濱野くんに背中を叩かれそう聞かれた
「数学だよ」
「そっか、ありがとう」
濱野くんにあのまま恋をしていたかったのに
たった1日で人の感情ってのは忙しい
小柄先輩に鼻の下を伸ばしている濱野くんにガッカリしたのもあるけどな。
「俺最近、原野さんに感化されてお笑い見てるんだよ」
「え!ほんとに!誰好きー?」
「ジャルジャルかな」
「それはさすがのセンスだわ。」
「いや誰なの!」
恋心がどこかへいったあとのほうが、うまく話すことができるのがまた皮肉なもんで
この1ヶ月で私たちは何気ない話をたくさんした
「ていうか連絡先交換してないよね、しない?」
濱野くんはケータイを取り出してそう言った
「そういえばそうだね、番号教えるよ」
学祭前の私に自慢したいくらいだけど、学祭後の私にとってはそれはもうトキメキでは無くなっていて
ただの友達同士の連絡先交換で
だけど男友達も居ない私にとって、それはそれで嬉しかった
「このクラスで初めてかも、交換するの」
どうせ先輩とはとっくにしてんだろ?あん?と心のヤクザが顔を出したところで「私も男子とは初めてだ」と言えば驚いていた
「そういえば女子といるとこしか見ないかもね」
「そうなの、下の名前すら知られてないと思うよ」
えーそれはないよーと笑われたとこで、チャイムが鳴った
後ろに向けていた体を前に向けるついでにちゃっかり荒川の方を見ると
目が合ってしまった
一瞬で逸らして真剣に授業を受ける人の姿勢で前を向いた
内心はたったそれだけでバクバクして授業どころではないのに
目が合うだけでドキドキするなんて
私は小学生だったのか
隣にチラつく一挙一動、全てに敏感に反応してしまう
それでも、ぜったいに、意地でも、認めない
認めない!!!
最初のコメントを投稿しよう!