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「席替えしまーす」
ねぇ先生嘘じゃん
せっかく濱野くんとも楽しく喋れる仲になったのに
せっかく荒川と隣だったのに
「一班からくじ引いてー」
私の班は二班だ、一班が引き終わったあと、教壇にくじを引きに行った
「えぇぇぇ」
その番号を見て絶望したのは
一番前のセンターだったから
アイドルグループであれば泣くほど嬉しいかもしれないけど
教室の席では泣くほどなりたくない席であった
「あやか♡離れるの寂しいね♡」
忘れた頃に登場の瀧上だ
瀧上は一番後ろの一番窓側
この人はいつも反応に困るふざけ方をしてくる
「そうね寂しいわね♡」
ふざけ返してみたら驚かれた
「そういうことするの!」
「してみたい日もあるでしょ!」
「そう返されると普通に困った」
「その感情がいつもの私の感情!」
珍しい組み合わせのやりとりに周りが笑っていて
荒川も笑っていたのが何だか嬉しかった
瀧上から離れられるのはとても良かった。
全員が引き終わり、席を移動する
不幸中の幸いだったのは後ろの席がゆきだったことと
斜め後ろが荒川だったこと
ゆきをみるついでに荒川をチラ見するというせこいマネができるってことだ
いや、好きじゃないよ
絶対認めないよ
「あやかの後頭部見ながら授業受けんのか…」
「どうせ黒板見てないんだからいいしょ」
「見てるわ!」
ゆきとは班も一緒だ。
ついでに私の隣になった田畑も一緒だ。
ちなみに荒川も一緒だ
三連続同じ班だなんて、なんて偶然
「ゆきめっちゃ近くねー!」
うれしそうに移動してきた田畑は、一番前という絶望よりゆきの斜め前になれて嬉しいことで頭がいっぱいらしい。
「原野もいんのかよー」
「すごい邪魔みたいな扱いするけど最近は全然こっちのセリフだからね」
ゆきと一緒に帰った日はもう思い出せない、と言う感じで毎日田畑に連れ去られている
なんだかんだ拒否しないゆきも実は田畑のこと気になってんじゃないの?と思うけど
そんなこと言ったらぶち殺されるからそっと胸に秘めている
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