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「なー行こうよ4人でー!」
田畑は今日も誘う
4人、というのはイツキさんを含めたあの4人だ
「行かないって毎回言ってるのに凄い誘うけど何なの、殺人計画とか企てられてる?」
「車出せて来れんのイツキくらいなの!んでイツキは原野と遊びたがんの!なんかしんねーけど!」
余計な一言にややイラッとした
なぜ私にそこまでこだわるのか
自分の思惑通りにいかなかったからだろうけど
私にしてみれば二つ前のちょっとした色恋沙汰であって、今となってはなんの興味もない
「話し合わないし全然楽しくないんだもん絶対2度と行かないよ」
「えーーーー」
机にうなだれる田畑、知らぬ顔でケータイをいじるゆき
もうめんどくさいから2人くっつかないかな
「いいじゃんメンヘラも悪くないかもしんねーよ」
荒川が話に入ってきて、いたずらに笑った
全然笑えない
「やだよそんな高校生活送りたくない」
「彼氏居ないより良くね」
「居なくてもエンジョイしてんだわこっちは」
内心はバクバクだけど、なんとか会話を成立させた
鼻で笑うその姿さえ、今は
いや、なんでもない
「イツキなんかいつもと違ってマジっぽいんだよなーこれ本人に言うことじゃないかもだけどー」
田畑がうつ伏せながらこちらを見てそう言った
マジであろうとなかろうと、びっくりするほどに興味がない
「そんなわけ無さすぎるわ」
軽くあしらってトイレに立った
楽しそうに話す濱野くんと小柄先輩を横目に、教室を出れば
目につくのはいろんな男女だ
付き合ってるのかもしれないし、ただの友達かもしれないし
そんなのは側から見ただけじゃわからないけど
男子となんてろくに喋ったことのなかった私がここ最近普通に喋れてることが
なんだかすこし嬉しかった
だけど恋愛対象になんてなれるわけ無いから
恋なんてしないんだ
絶対、この学校では、しないんだ。
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