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通達があり敦子が向かったのは支部長室。支部の最上階にあるその部屋はエレベーターを上がって長い通路の先にある。
扉が開くと各支部とのモニターによる総合会議の最中だったようで敦子は一旦出直すように外で待機していた。
??「すまない。入ってくれ」
支部長の指示を受けて敦子は再び入室した。席に座っているのは金髪に白のスーツを着た若い青年が腰掛けていた。
名前は【槇島 ファース 透】。このジパング支部を取り仕切る支部長だ。
敦子「先ほどはすみません。会議の最中とは知らずに」
槇島「いやキミが謝ることではない。話と言うのは、先ずは前回に引き続きの事だ」
槇島は机の上で両肘を立てて寄り掛かり、両手を組み本題に入った。
槇島「以前も話した通り、キミには【Messiah Code(通称 コード)】持ちとして、現場から離れ、司令官としてその才を使ってもらいたい。考えては貰えないだろうか」
敦子「その事なんですけど、やっぱりお断りさせてください」
迷いなくその申し出を断った敦子。コード持ちとしてはこの考えはめずらしくはないのだが、大抵のコード持ちはほとんどが司令の役割を担い、前線からは身を引く物なのだ。
槇島「理由を聞かせてくれないか?」
敦子「理由も何も、私はその方が性分に合ってますから。誰かに指示を出して任務を行うよりも、私自身も前線に立って任務をこなす方が合ってるんです」
槇島「………」
敦子「それに私は自分の手で護りたいんです。コード持ちが優遇されて一人だけ安全地帯に身を置くのは私にはちょっと…」
槇島「…なるほど、よく分かったよ」
槇島は小さく微笑を浮かべると組んでいた手をほどいた。
槇島「キミが司令職に回ってくれれば、この任務は北水くんに依頼しようと思っていたんだが、キミがそう言う考えならやはりキミにすることにしよう」
槇島は敦子を呼んだ本当の本題に移行した。
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