27人が本棚に入れています
本棚に追加
「裕くん、そろそろ学校だよ。」
なんだか懐かしい声でガバッと起き上がる。
あれ?確か俺は死んだはず…。
回りを見ると懐かしい景色。そう、子供の時に暮らしたじいちゃんの家…。
って、何でだ!
隣には中学まで一緒に寝ていたばあちゃんが。ばあちゃん、ひさしぶり。ここはあの世なのか?
「裕、遅刻するよ。」
ドアが開いて母親が入ってきた。わ、若い!こりゃ、過去に戻ってしまったのか?
準備しながら頭を落ち着かせて記憶を辿ってみる。完全とまではいかないがぼんやりと記憶が甦る。
どうやら小学5年生の7月に戻ってきたようだ。
7月といえば非常に大きなイベントがあったなぁ。
とりあえず準備をして、集団登校集合場所に妹と向かうことにした。
申し遅れました。私は嶋田 裕と申します。なんの因果かわかりませんが、78歳の人生を終焉させたと同時に小学生に戻ってきてしまいました。
体は11歳ですが、精神はおじいちゃんです笑。
横をトコトコ付いてくるのは妹の唯。小学3年なのだが、好き嫌いが激しく、体が小さい。よく1年生と間違われます。
ただ、兄の贔屓目を除いても可愛いんです。嫁に行くとき絶対泣いてしまいそうです。
「おはよ。裕、唯ちゃん。」
声をかけてきたのは親友の佐々木 太一。地区唯一の同級生で大の仲良し。
二人でサッカーをやってます。俺はキーパー。太一はリベロ。
恥ずかしながら、全国レベルと言われてます。
夢は俺と太一で全日本のゴールを守ってワールドカップ優勝です。
町内は子供が15人しかいないので男女一緒に登校します。
俺は太一と下らない話をしながら学校に向かった。
「裕、今日転校生が来るんだよな。」
そうだ。今日7月7日は転校生が来る。俺の将来の妻となるあの女の子が。
最初のコメントを投稿しよう!