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「おはよう。」教室に入る。
「あっ、嶋田くん、佐々木君。おはよう。」
みんなが挨拶を返してくれる。ただ、そこまでだ。俺も太一も訳ありでクラスから浮いた存在である、
「おはよう。裕くん、太一君。」
その中でも気兼ねなく話せる親友斎藤めぐみが話しかけてくる。
めぐみの父親と俺の父親は小学生から大学院生まで同級生。同じ会社に入って今は二人とも専務取締役である。
小さい頃から互いの家を往き来していた。また、こっちに来たときは太一も一緒に遊んだから3人は幼馴染みである。
「今日転校生がくるんだよね。どんな子かな?」めぐみはワクワクしている。
俺は知ってるんだよな。今日来る転校生と、4日後に来る転校生が俺の人生に大きく関わってくることを…。
ガラッとドアが開いて担任が入ってきた。
俺は学級委員の為、号令をかけた。
「今日新しい友達がクラスに入る。みんな仲良くな。」
ガラッとドアが開いて一人の女の子が入ってきた。
肩くらいまで伸ばしたセミロングな髪。
パッチリした大きな目。可愛らしい女の子。
将来の妻は少し暗い表情をしていた。
「初めまして、荻窪茜です。」
自己紹介をするとみんながじっと見ているのに気がつく茜。キョロキョロと辺りを見回し始めた。
俺は…。
○ 声をかける?
○ 声をかけない?
なんだこれ?選択肢?
学級委員なんだから声をかけないといかんだろ。
目があったとこで、「俺の隣空いてるんで机と椅子を持ってくるよ。」
俺たちのクラスは男が二人多いので廊下側の最後列の俺とその隣の太一の横が空いていた。
俺は倉庫から机と椅子を持ってきて、雑巾で吹き上げた。
茜はまだオロオロしていたので、迎えにいった。
「初めまして、俺は嶋田裕。学級委員やってるから困ったときは声をかけてな。」
「お、荻窪茜です。よろしく。」
やはり暗いな。原因は…、思い出せない。肝心なとこは抜けてるんだよな。
「荻窪さん…、じゃあ、今日から荻ちゃんね。」
いきなりの馴れ馴れしい呼び方に戸惑う茜。そういえば、初めて会ったときこんな風だったな。
よし、素の茜をどんどん出してやるから覚悟しておけよ。
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