第1章

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僕はこの日、最愛にして最大の天敵――都巳夜(みやこ みや)と再会した。 「ねぇ、さっきからどうして私の方を見てくれないの? こうして再会出来たのに! 静海(しずみ)君!」 最悪だ。いくら朝の星座占いが最下位だったからって、いくら今日が十三日の金曜日だからって、いくら僕が不運だからって……これだけは、この展開だけは止めて欲しかった。 「あ! もしかして……そっくりさんなのかな? うわぁん、すいません。確認もしないで。だって本当に静海君そっくりだったから」 彼女が馬鹿な方向に話を持っていき始めたので、ここらで僕は口を開く。 「――合ってるよ。僕が静海優太(しずみ ゆうた)」 「やっぱり! そうだよね、私が見間違えるはずないもん」 ずっと以前から決まっていたかの様に運命はこうして結びつけられてしまう。あの日の別れの方が偶然で、今日の出会いは必然であったのだ。きっと世界にとっても、彼女にとっても。 こうなったら、もう付き合ってやるしかない。それから逃れる事など不可能なのだ。 もうとことん都巳夜と一緒にいてやるさ。 僕は彼女が嫌いな訳じゃない。決して。 さっきも言ったろう? 最愛にして最大の天敵だと。 僕は彼女が好きだ。例え、あの日で僕らの運命が最後だったとしても、僕は都巳夜をずっと想っていただろう。 けれど、そう。彼女は僕を乱す、壊す――そして愛さない。 そんな彼女と再会してしまったのだから、今日の僕は最悪、というしかないだろう。 高校二年、春、転校生、都巳夜。 僕らは三年ぶりに言葉を交わした。
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