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RRRR……!
部屋のどこかで携帯が鳴ってた。
あわてて部屋を見回し、
ソファの背にかけた
上着のポケットから携帯を取り出した。
友人の塔子からだった。
『はい、もしもし。』
『あ、沙樹!やっと出たぁ~~』
『塔子…どうかした?』
『沙樹、今どこ?
何してんの?まさか……』
塔子は小声で、
『……和也といっしょ?』
と、聞いてきた。
カズヤ?
あぁ、桐野和也ね。
そうだった。
塔子はずっと桐野が好きだった。
『う、家よ。コーヒー飲んでた…』
『ひとり…?』
『今、…うん。』
『そっかぁ―!
色々、心配したのよ。』
『心配…?』
『沙樹?……覚えてないの?』
『あ、そうそう昨日ね、
塔子と飲んでたんだっけ……』
『あんた酒癖、最悪!
酔って和也にカラむし、
… かと、思ったら、
急に泣きだして…
終いには、そのまま寝ちゃって!
私が連れて帰るって言ったんだけど、
和也が、“女の子の力じゃ……"って、
沙樹を、おぶって行ってくれたんだよ!
ちゃんとお礼言ったの?
ま、今、一緒じゃないならいいわ。』
『そう…あの……トウコ……』
『今日はどうせ二日酔いでしょ!
ゆっくりしときなよ。
また電話するから。
私も、聞いてほしいことあるし。
……じゃ!』
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