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『おい、信!
お前さぁー、もっとファンの子達に
愛想よくできねーのかよ!』
テレビ局での収録を終え、
移動車に乗り込むと、
カケルが信に向かって、言いだした。
信は、かけていたサングラスで
長めの前髪をかきあげ、
さっきファンからもらった
手紙やプレゼントを見ていた。
『カケル。
悪いけど俺さぁー、
愛想は、いいんだよ。
あの子達は、クールな俺を求めてんの。』
そう言って、
信は、フッ・・・と笑った。
『け―っ!狙ってクールかよ!
やってられねーな。
俺なんて、年中笑顔を振りまいてんのによ!
今日だって、ファンレター1、2、3…
ん?ミッキー…?』
カケルの手にあった
2・3通のファンレターの中に
『ミッキーへ』
というのが、混ざっていた。
『あ!俺の!オレの!!』
幹成が、シートから身を乗り出して
ファンレターに手を伸ばしてきた。
『なーにが、ミッキーだよ!
お前は、ネズミかっ!!』
そう言って、カケルは、
幹成とは反対側の信の方に
ファンレターをヒラヒラと放った。
『ちょっ!こっち返せよ~』
幹成は、身をよじって
手を伸ばし続けている。
目の前に落ちてきた
ファンレターをキャッチした信は、
『ほい、ネズミさん!』と、
苦笑しながら、幹成に渡した。
『なんだよ~信まで。
この前のライブで、桐野がそう呼び出して、
そこからファンの子が
言いだしたんじゃないか……』
幹成は、口を尖らせていた。
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