第1章

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B(心の声)「……移りゆく季節、色づき始めた街並み……私はその中を歩く……私の傍らを、秋色の可愛らしい柴犬が駆け抜け、その後から、恐らく同年代であろう女子学生が、薄紅色の頬を私に見せつけるように、淡い芳香を残して通り過ぎた……穏やかで、どことなく艶っぽい、今この時……もうこれ以上、何もいらない……そんな気分を、幸福と呼んでもいいですか? 」                 A「あ! 千円落ちてる!」                犬「ワン! 」 B「……」 A「牛若丸、これ交番に届けに行こっか」 犬(牛若丸)「ワン!ワン!」 B「あの、すみません」 A「はい? 」 B「……それ、僕が落としました」 A「……」 牛若丸「……ガゥ」 この日、全国各地で木枯らし一号が観測されたという……。
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