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「おう!
…で、俺ら、どっちから来たっけ?」
「え…えぇえ!? もしかして、来た道覚えてないの!?」
「お、覚えてるわけねぇだろ!? 適当に走ってきたんだしよ!」
「そこ、胸張って言うとこじゃないからね!?」
くっ、忘れてた…! まこちゃんは突っ走ると周りが見えないタイプなんだった…!
「あ、でもそーいや俺、地図持って来たんだった!」
「お、ナイスぅ!」
ガサガサと鞄を漁り出したまこちゃん。 数分経って、その手に握られていたのは…
「…ねぇ、それってもしかして…」
「おう、幕末期の京都の地図」
「あんまり役立たなくない!? というか、なんで持ってんの!?」
「良いじゃねぇか。 それに、京都の町は昔からあんまり変わってないからな。 役に立たないことないぞ?」
バサッと地図を開く。 覗き込むと、ミミズの這ったような独特な文字が。
「ここってどこ?」
「……分からん」
「結局役に立たないんじゃん!」
期待して損した!
そう言うと、まこちゃんは苦笑いを浮かべ、頭をガシガシと掻いた。
「どうすっかぁ…」
「とりあえず、ここにいる人に聞こう! それが一番手っ取り早いよ!!」
まこちゃんの手を引き、八木邸の門を通る。
中は案外広くて、オマケに昔に建てられたと思えないほど綺麗だ。
人いないかなー。 そう思って探すけれど、誰1人いない。
普通は、受付みたいなのがあって、お金を払わなきゃいけないのに…誰もいない。それに、受付みたいなのもない。
…おかしい。
そう思っていたのは私だけではないようで、
「なぁ、なんで誰もいねぇんだ?」
気味悪がるようなまこちゃんの声が聞こえた。
そして続けて
「つか、いつまで手、握ってんだよ…」
そんな声も聞こえてきた。
「あ、ごめん」
慌てて離すと、まこちゃんは若干赤い頬をポリポリ掻いた。
「別に良いけどさ…」
「って、そんなことより、これからどうしようか」
とは言ったものの、することは決まってる。
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