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「……か……」
声が、聞こえる。
「………るか………陽夏!!」
「うわぁ!!?」
至近距離で名前を呼ばれていることに気付き、慌てて目を開けると、直ぐ近くに不安そうなまこちゃんの顔が。
ビックリしすぎて変な声出たよ。
「ま、まこちゃん、近いよ!!」
「は? あぁ、ごめん。 なかなか起きないから、不安になった」
「ごめんごめん。でも、すっごく元気だから大丈夫だよ!」
上半身を起こし、大きく拳を突き上げる。
まこちゃんは苦笑いをした。
「元気なのは良いが…お前、今の状況、分かってるか?」
「ん? 今の状況って…?」
えぇーと、迷子になった山に何故か穴が空いてて、それに気付かず落っこちて…
……………
……
…。
周りを見渡す。
「何かしら、あの格好…」
「異人?」
私達の周りには人だかりができている。 ここは地底都市か何かだろうか?
…いや、違うよね。 だって、地底都市がこんな明るくて青空が見えるわけないし…。
それに、どうしてこの人達は着物を着ているのだろう。
「ここ、京都、だよね…?」
「わっかんねぇ…。 穴から落ちて、気付いたらここにいたからな…」
え、どうするよ? そんな空気が私とまこちゃんの間に流れる。
えぇーい! こんなことしててもしょうがない!!
「ちょっとそこらにいる人に聞いてくる!!」
「あ、おい!!」
立ち上がり、周りに集まっていた人にズンズンと近づく。
そんな私に何故か怯えた顔をして距離を取る人々。
え、私、そんなおっかない顔してる!? 確かに、可愛い顔はしてない…むしろブスだけどさ…。
落ち込みたい。 落ち込みたいけど…それをしても、この状況は変わらない。
勇気を出して、口を開いた。
「ここって、何処ですか!?」
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