第8章

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細くて長い指。 爪の形もきれい。 そっと指でなぞる。 もぞもぞ布団が動いて、顔を少しだけ出すと、 「くすぐったい。」 困った顔でいうから、可愛くて驚いた。 「ごめんね?寝てね?」 「うん。」 「苦しくないの?」 「苦しい。」 「それじゃあ、布団から顔出しなよ?」 「やだ。」 え、まさかの反抗期!? 「余計熱あがっちゃうよ?」 「大丈夫。」 「なんで意地悪?」 ペラリと布団をめくってみると、慌てて布団をかぶろうとしている。 「ハナちゃんが意地悪可愛くて、びっくりしてんの!!」 「へ?」 「そういうの、ズルい。」 いやいや、ズルいって言われても。 カズマは布団から出てくる気はないらしいから、仕方なく布団の上から、子どもをあやすようにトントンと手を動かす。 早く治りますように。 少しでも多く身体を休められますように。 願ったところで、なんの力にもならないかもしれないけれど、願わずにはいられない。 健康って当たり前のことじゃないって、こういう時に痛感するなぁ。 無駄に体力を消耗したせいか、スースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。 そっと布団をめくると、可愛い顔でスヤスヤ寝ている。 苦しくないように、顔がちゃんと出るように布団をかけ直して、おでこにかかった前髪をそっと払う。 その瞬間、ふわりと風が舞ったと思ったら、布団の中に入っていた。 「お、起きてたの!?」 「…。」 あくまでも、寝たフリを貫くらしい。 それならそれで。 カズマの胸に、身体をスイっと近づける。 少し困ったように、さ迷った手が背中に添えられた。 そんな些細なことが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。 添い寝って、絶大な可能性を秘めてたんだ。 …なんて。 今度こそ本当に眠ったのか、腕の重みがかかるけれど、それすらも心地いい。
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