第8章

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翔太が作ってくれた、雑炊をふたりで食べた。 病院へついていくのも、洗濯も拒否をするカズマをなんとか納得させて、洗濯権を得た。 「キツくなったら、タクシー乗るから大丈夫。」 「ほんとに、ほんと?」 「うん。 洗濯、帰ったら干すからそのままにしておいてね?」 「はいはい。」 ここで何を言っても、絶対うんとは言わなそう。 「じゃ、いってくるね。」 「気をつけてね?」 「うん、 いってきます。」 「いってらっしゃい。」 カズマを見送って、まずは部屋の掃除をすることにした。 ここ最近、イベントの準備が最優先になっていたから、家の中は多少雑然としている。 それでも、ごみだらけとか、ホコリまみれになっていないのは、カズマや翔太も気づいたときに片付けていてくれたからだと思う。 洗濯機を回しながら、お風呂掃除に取りかかる。 カズマが帰ってきたら、ゆっくりお風呂に入りたくなるかもしれない。 あとは、天気もいいから布団も少し干そう。 家中掃除機をかけて、念入りにトイレ掃除も終えたころに、洗濯機の終了のブザーが鳴る。 カズマはやらなくていいって言ったけど、せっかく天気がいいんだから、干さなきゃもったいない。 そう自分に言い訳して、洗濯機からシーツを取り出す。 順番に干しながら、パンツに動揺する私はやっぱり変態になりつつあるのかもしれない。 思いつく限りの、洗濯と掃除を終えて、ソファに座る。 目には見えないけれど、空気がきれいな気がするって、こういうことなのかな。 今日一日がんばった身体と心を、ゆったり癒せる空間って、大切だなぁ。 忙しくなると、片付けは後回しになる。 でも、身体や心が疲れているから、部屋が乱れるのか、部屋が乱れているから、身体や心まで余計に疲れるのか…。 関係ないとは言いがたいのかもしれない。
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