514人が本棚に入れています
本棚に追加
これは心を読んだんじゃなくて、表情を読まれたんだ。
「違うからね?
せっかくのお休みなのに、家のことたくさんしてくれて、それで更にオレに気を使って、家にずっといてくれなくてもいいんだよ?」
「そ、それは。」
図星だ。
だけど、
「家のことをするのは、当たり前のことだから気にされても困る。
私だって暮らしてるんだから…。」
ご飯のことも、家賃のことだって、すごく甘えているのに。
「そっか。
うん、ありがとう。」
「…だけど、カズマが家にいるなら、私も家で一緒にのんびりするお休みもいいかなぁって、思ったんだけど。」
「…え?」
ものすごく驚いた表情を向けるから、おかしなことを言ってしまったと焦る。
「あ、ごめん。」
そういうのって、煩わしかったり迷惑なこともあるよね。
カズマだって、具合が悪くて休んでるのに。
どうしよう、不謹慎なことを言ってしまった。
どんよりした後悔に包まれそうになった、その瞬間カズマの顔が赤いことに気づいた。
「え!?
カズマ、また熱上がった!?」
おでこに伸ばそうとした手を優しく掴まれた。
「ハナちゃんが、そんなこと思ってくれてるなんて思わなくて…。」
「へ?」
手を掴んだまま、ズリズリと移動して隣に座った。
「オレはハナちゃんと、一分一秒でも長く一緒にいたいと思うけど、ハナちゃんはどう思ってるか、って…初めて聞いたから。」
「あ…。」
「そりゃ、オレは一緒にいて欲しいけど、風邪うつしちゃ困るし、ハナちゃんだって用事とか息抜きとか気分転換とかあるだろうし…。」
途中から自信がなさそうになっていく姿が、無性に可愛く見える。
「カズマは仕事も忙しくて、やりたいこともあって、そこへ向かってがんばってて。」
「…。」
「周りの人からも必要とされていて、すごいなって思う。」
最初のコメントを投稿しよう!