第8章

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「そんなことないよ。」 「あるよ。 そういうカズマのことを、応援したいなーって思ってるよ? …だけど。」 「ん?」 「独り占めっていうのは、絶対にできないんだろうなぁ…っていうのも思うかな?」 自分で言ってて、恥ずかしくなってきた。 けど、なかなか言えないことだから、この機会を逃したら、また心にしまうことになる。 「え…。」 「って、そんなこと言って、ウザいよね。 あのね、24時間365日拘束したいとかじゃないからね?」 恥ずかしくて、誤魔化すことを言ってしまった。 カズマはなにも言わないから、気まずくなってきて、どんどん余計なことを言いそうだ。 みんなのカズマが好きなのに。 独り占めもしたいなんて、私いつの間にそんなにカズマに心を奪われていたんだろう。 「ハナちゃん!!」 「!?」 掴まれていた手が、スルリと離れたと思うと、優しく強くしっかりと抱きしめられていた。 「なんか、もう、嬉しくて苦しい…。」 耳元でカズマが囁く。 カズマの呼吸と鼓動と体温に包まれて、緊張とドキドキで私の鼓動の方が大きく響いている錯覚に陥る。 「今日はずっと一緒にいて?」 「…うん。」 ものすごく恥ずかしい。 だけど、嬉しい気持ちもあるのが、不思議…。 しばらく会ってないと思ったことは何度もあるけど、一緒にいたいと思って、それを相手にも伝えられたのは、初めてかもしれない。 こんなに嬉しいことを知らなかったなんて、損してたみたい。 「あー、でも食べたら昼寝だよ? 仕事厳禁だよ?」 力がゆるんだ隙に、そっと身体を離して顔を覗きこむ。 「一緒に昼寝?」 「わ、私はしないよ!」 「やだ、一緒にじゃなきゃ、昼寝しない!」 「…もう、仕方ないなぁ。」 「やったー!」 今なら、みんなが添い寝について力説していたことも、少し理解できるかも?
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