第8章

79/81
前へ
/670ページ
次へ
「本読んでる人の隣にいると、自分も本読んじゃわない? なんか、そういう感覚。」 「わかんないようで、わかるような。」 「でも、あいつら邪魔してくんだよ。 数学教えろとか、ここわかんないとか。」 「教えてあげるんだ?」 「一応。」 「すごいじゃん。」 「わかんないとこもあるけどね。」 カズマって、面倒見がいいと思う。 困っている人を、放っておけないって、やっぱり優しいからなのかなぁ。 年上からは、からかわれつつも可愛がられてて、人との繋がりにすごく強く縁のを持っているというか。 「カズマ、俺も店手伝わせてもらうことになったから。」 どうやらシャワーを浴びていたらしい、翔太が髪を拭きながら居間に戻ってきた。 「親父の店?」 「ああ。」 「なんでまた?」 「ハナさんに応援されたから、がんばってみるわ。」 「!??」 「翔太~なんでカズマをからかうの。」 「ははは、つい。」 「話が見えないんだけど?」 カズマが首をかしげた。 「調理師の免許取りたいから。 大将に頼んできた。」 「それに、なんでハナちゃんが関係してんの?」 翔太が調理師の免許ってことより、そっちの方が気になるみたいだから不思議だ。 「ハナさんがきっかけをくれたから。」 「いやいや、そんな大したことは私はしてないよ。」 チャレンジするって決めたのは、翔太なんだから。 「えーーー! やだ、ハナちゃん。」 「な、なにが?」 「翔太の人生にも、ハナちゃんが関わるみたいで、ちょっと悔しい。」 「…は?」 なにを言い出すかと思えば…。 呆れてカズマを見ると、ふざけて笑ってるから、もう…私も笑うしかないじゃない。 「もう充分関わってると思うけど?」 翔太の言い分はもっともで、 「そういうことじゃないけど、翔太はそういうのに気づかなくていいからな。」 「はいはい。」
/670ページ

最初のコメントを投稿しよう!

514人が本棚に入れています
本棚に追加