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「本読んでる人の隣にいると、自分も本読んじゃわない?
なんか、そういう感覚。」
「わかんないようで、わかるような。」
「でも、あいつら邪魔してくんだよ。
数学教えろとか、ここわかんないとか。」
「教えてあげるんだ?」
「一応。」
「すごいじゃん。」
「わかんないとこもあるけどね。」
カズマって、面倒見がいいと思う。
困っている人を、放っておけないって、やっぱり優しいからなのかなぁ。
年上からは、からかわれつつも可愛がられてて、人との繋がりにすごく強く縁のを持っているというか。
「カズマ、俺も店手伝わせてもらうことになったから。」
どうやらシャワーを浴びていたらしい、翔太が髪を拭きながら居間に戻ってきた。
「親父の店?」
「ああ。」
「なんでまた?」
「ハナさんに応援されたから、がんばってみるわ。」
「!??」
「翔太~なんでカズマをからかうの。」
「ははは、つい。」
「話が見えないんだけど?」
カズマが首をかしげた。
「調理師の免許取りたいから。
大将に頼んできた。」
「それに、なんでハナちゃんが関係してんの?」
翔太が調理師の免許ってことより、そっちの方が気になるみたいだから不思議だ。
「ハナさんがきっかけをくれたから。」
「いやいや、そんな大したことは私はしてないよ。」
チャレンジするって決めたのは、翔太なんだから。
「えーーー!
やだ、ハナちゃん。」
「な、なにが?」
「翔太の人生にも、ハナちゃんが関わるみたいで、ちょっと悔しい。」
「…は?」
なにを言い出すかと思えば…。
呆れてカズマを見ると、ふざけて笑ってるから、もう…私も笑うしかないじゃない。
「もう充分関わってると思うけど?」
翔太の言い分はもっともで、
「そういうことじゃないけど、翔太はそういうのに気づかなくていいからな。」
「はいはい。」
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