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「???」
ふたりにはどうやら通じているらしいけれど、私には理解不能だ。
これが、幼馴染みの特権?
それはそれで、ちょっとうらやましいな。
「教科書っつーか、参考書とか必要なら教えるけど。」
「ん、頼む。」
そういえば、翔太って成績もよかったって言ってたよなぁ。
あっさり合格しちゃいそうで、怖い。
「ねぇ、翔太。
こたつ欲しいねって、さっき話してたんだよね。」
「こたつ、いいけど…出られなくなる。」
「だよね!
もうみんなで居間で生活しちゃう?」
「ホットプレートとか、電気鍋があったら、もう最強だな。」
「うわぁ、楽しそう~!」
そうはいうけれど、ひとつ残念なことは、翔太もカズマもそれほど家にいる時間が長くないってこと。
翔太も大将のお店を手伝うことになったら、家には眠るためだけに帰ることにもなるかもしれない。
「でもやっぱり、やめておこうか?」
「え、なんで?」
カズマも翔太も、キョトンとしている。
だって、私ばかりひとりでこたつにいても、きっとつまらない。
それなら、大将のお店に通っちゃおうかな?なんて。
そうは思ったけど、さすがにこんなことは言えないよ。
「カズマがこたつから出られなくなったら困るから!
ね、ご飯にしよっか?」
スルリと手を離して、毛布から出て立ち上がる。
がんばるふたりを応援するのも、もちろん好きだけど。
ふたりががんばるほどに、眩しく見えて、遠い存在になってしまうようで、少しさみしくなる。
それは、私自身ががんばれていないから?
それともただのわがまま?独占欲?
モヤモヤとした、不安に包まれる。
振り切るように、頭を左右に降って顔をあげる。
「ご飯炊いておけばよかったよね。
ごめんね。」
「ん、大丈夫。
冷凍のがあったと思う。」
「カズマは、雑炊にする?
って、私が雑炊食べたいかも。」
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