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「じゃ、雑炊作りますか。
カズマは寝てろよ。」
「そうそう、仕事しちゃダメだよ?」
「はいはい。」
そう言いながら、きっとまた仕事のことを考えているんだろうけど。
ため息混じりに、微笑んでしまう。
翔太と一緒に台所で雑炊を作る。
私は詳しくわからないけれど、調理師の免許は、どうやら筆記試験だけじゃなくて、飲食店に勤めている経験も必要らしい。
少しずつ年を重ねながら、経験も知識も増えているとは思っていたけれど、案外そうでもないのかな。
世の中には、知らないことがたくさんある。
知ったつもりになっていないで、向き合ってみるのも大切だな。
「カズマ、明日も休み?」
「そうみたい。
でも、午前中お店に寄ってきたみたいだけど。」
「そうなんだ。」
カズマがお母さんに出くわしたことを話す。
「バカだな…。」
「ねー。」
「厳しいとこは厳しいけど、カズマん家みんな仲いいから。」
「翔太のところも、仲良さそうだよ?」
「あ、ハナさんはお兄さんと仲良いし?」
「…いいのかなぁ。」
「いいんじゃない?」
「そうかなぁ?」
過保護も仕方ないとしても、私の年齢も考慮してくれないと、困るんだけどなぁ。
けど、話を聞いてくれるようになったのは、大きな前進か。
翔太もこれから忙しくなってしまうだろうから、旅行は無理そう。
わかっているつもりだったけど、ちょっと楽しそうなんて思ってしまったから、残念かな。
雑炊を作った土鍋と、煮魚とポテトサラダも居間のテーブルへ運ぶ。
いただきますと手を合わせた。
「お魚おいしい!」
「よかった。」
「雑炊もおいしいね。」
「うん。」
3人で食べながら、やっぱりこたつを買おうかと盛り上がる。
「大将のお店の小上がりに、こたつがあればいいなぁ。」
「ハナちゃん、それいいね!」
「へ?」
「提案してみよっかな。」
カズマが嬉しそうに笑った。
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