第9章

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引き渡しは22日から25日までの予定だけれど、ここで受付した分だけでも、引き渡しの日にちにはバラつきがある。 目の回るような忙しさが、4日も続くのか…。 もちろん、商品が売れることは嬉しいけれど、気力も体力もツラくないとは言い難い。 「そうだ、商店街はハロウィンの時みたいに、イベントやるんですかね?」 「たぶん、例年通りの福引きだけだと思うよ?」 「そうなんですか。 クリスマスイベントみたいなのもあったら、楽しそうだけどなぁ。」 「…そうだね。」 自分が参加できるかは別として、ハロウィンは楽しかったもんなぁ。 福引きの抽選券は、うちのお店でももちろん配っている。 だけど、カズマも相当忙しいみたい。 クリスマスのデートに気合いを…っていう、女の子や男の子はもちろん、年末に向けて髪を整えるお客さんも増えるらしい。 それに加え、年が明けてまもなく、調理師の試験も待っている。 そうそう、翔太は大将のお店を手伝っている。 カズマが忙しい分も、翔太が手伝ってるから、大将は助かってるって言ってたなぁ。 「一華先輩! あの方、お知り合いじゃないですか?」 まみちゃんが小声で囁いて、チラリと視線を向けた方向を見ると、 「濱田さん。」 スーツ姿の濱田さんが、はにかみながら近づいてきた。 「一華さん、お久しぶりです。 あの、ケーキを予約したいのですが…。」 「あ、ありがとうございます。」 「ここで予約すると、クッキーがもらえるから、行ってきてって姪に頼まれたんです。」 困ったように笑いながらも、なんだか嬉しそうだなぁ。 「はい、こちら差し上げますよ。 わざわざ来ていただいて、ありがとうございます。」 「いえ。」 まみちゃんが差し出した、注文票に記入してもらう。 「お引き取りは、何日になさいますか?」 「あー、24日にします。」
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