第9章

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慌てて支度をして、みそ汁だけ食べて、家を出た。 今日は早く帰れるだろうから、カズマにプレゼント用意したいなぁ。 あ、翔太にもなにか見つかるといいな。 先に準備しておけば良かったのに、っていうのは、いつも後になってから気づく。 昨日までの忙しさとは少し違って、落ち着いて接客や作業もできて、安心する。 お昼も多少休憩が取れた。 今日は早番で何人か帰してあげられて、ホッとする。 わかってはいても、クリスマスに激務が続くことを理由に、辞めてしまわれたらすごくさみしい。 「一華先輩は、デート大丈夫ですか?」 「まみちゃん。 お疲れさま。」 「お疲れ様です。 カズマさん、待ってるんじゃないですか?」 「どうだろ? カズマも忙しいみたいだし。」 「クリスマスのデートで、気合い入れてセットしたりする人もいますもんね。」 「ねー。」 在庫を確認し終えて、まみちゃんと一緒に事務所へ向かう。 「お疲れさま。 ふたりとも、終わったら早く帰りな?」 「ミユキは、まだ終らないの?」 「私はもうちょっとかな。 少年とクリスマスデートしなよ?」 「いや、しないよ。」 「待ってると思うよ~?」 「私もそう思います。」 まみちゃんまで、うんうん頷いている。 押し出されるように店を出て、大将のところへ寄ろうかと歩いていると、 「ハナちゃん!!」 「か、カズマ!?」 どんなタイミング? 後ろから走ってきたと思ったら、ぎゅうっと抱きしめられた。 「ハナちゃん~!」 「ちょ、っと!」 こんなところで、恥ずかしいんだけど!? でも、温かくて…なんか、ホッとする。 「大変だったね。 お疲れさま。」 「ありがと。 って!!プレゼント!」 「びっくりした?」 照れたように笑っている。 「びっくりしたけど、嬉しかった。」 「良かった。」
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