第9章

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ゆっくり過ごしたかったのに、疲れと睡魔には勝てず…。 気づいたら、朝になっていた。 今度は、カズマが忙しくなったみたいで、早出して、残業も続いている。 年末は髪を整える人が増えるらしい。 その代わり、お正月は休めるかと思いきや、どうやら着付けも扱ってるらしくて、初詣に行く人たちの予約で忙しいらしい。 一緒に住んでいなかったら、かなりすれ違いの会えない生活が続いていたんだろうな。 去年までは、大して気にしていなかったのに…。 カズマは美容室の仕事が忙しい分、大将のお店には翔太が通っている。 とはいえ、翔太だって本業も忙しいのに。 大晦日は、いつもより少し早めに仕事が終わる。 翔太がお刺身持って帰るとは言ってくれてたから、私はお酒と、おつまみになりそうなお菓子なんかを買って家に帰る。 「ただいま~…って、まだ誰もいないか。」 玄関や居間の電気をつけながら、家に入る。 台所で冷蔵庫にビールの缶を入れていると、 「ただいま。 ハナさん、帰ってる?」 「翔太、おかえり。」 「お刺身と、あと適当におかず持ってきた。」 「ありがとう。」 「カズマは?」 「さあ? 遅くなるんじゃない?」 初詣へ向かう為の着付けって、一体何時から受付なんだろう? 明日も朝は早いってことなのかな? 「翔太は、今日は大将のお店には行かなくて大丈夫なの?」 「うん。 早めに閉めるって。」 「そうなんだ。」 「カズマはいつ帰るかわかんないし、先に食おっか。」 「うん。」 居間にお皿やおかずを運ぶ。 「ひとりじゃないって、心強い。」 「えー? 去年はモトカレと年越ししたんじゃないの?」 「ううん。」 「…は?」 翔太の眉間に深いシワが寄る。 「実家でごちそう食べたいからって。」 「…。」 「1日は家族で初詣行くのもあるからって。」
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