第9章

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「家族を大事にする人なんだなーって思ってた。」 「そりゃ、家族も大事だけど…。 なんだよ、それ。 ハナさんがひとりで過ごすって、わかってんのに…。」 「ハハハ。」 「なんで言わなかったの? 大将のところ…っつーか、カズマの部屋でも、もううちに来たって良かったのに。」 「そんな、家族で過ごす大事な日に、他人がお邪魔したら迷惑でしょ。」 「だったら、カズマだっていたんだから…。」 「そういう関係でもなかったし…。 それに、終わったことだから。 今年は楽しいから、全部チャラにできちゃうかも。」 「ハナさん、ほんと優しいからな。」 「そんなことないよ。 お腹減ったね。 翔太はビール飲む?」 「うん。」 冷蔵庫からビールをふたつ取り出す。 「乾杯しよっか?」 「うん!」 居間のテーブルに、並んで座る。 「今年もおつかれさま。」 「翔太も、おつかれさま。」 缶をガゴンと当ててから、ゴクリと飲む。 「なんか、ホッとした。」 「?」 「色々、責任ある立場になってきちゃって、緊張することも多かったから、クリスマスとか無事に終わって良かったなぁって。」 「そっか。 大変だったんでしょ?」 「毎年のことなんだけどね。」 「毎年大変ってことだね?」 「いい加減、慣れなきゃね。」 「そんなことないんじゃない?」 「そうかなぁ。」 お刺身に箸を伸ばす。 「おいしい~!」 「でしょ?」 「うん!」 「そういえば来年は、イベント増やしてみようって話も出てるんだよね。」 「商店街の?」 「ああ。 でもなにするにしても、準備と資金調達は、大変だけど。」 「そうだよね…。」 「別予算組むって言っても、うちも含めどこの店も、余裕なんてないからなぁ。」 「なにか、協力できたらいいんだけど。」
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