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「充分協力してもらえてるから、安心して?」
「えー、出来てないよー。」
「ハナさんがいるだけで、カズマががんばるから。」
「それって、なんか違う気がする。」
のんびりお酒を飲みながら、おいしいものを食べて、楽しく話せて、そういうのが幸せだなぁと思えるようになった。
もちろん、人それぞれの幸せの感覚は違うから、私の幸せが全てだとは思わない。
でも、一緒にいる人とは、共有できたら嬉しいなぁ…。
「た、だいま…。」
玄関で、微かに声が聞こえた。
ドタドタ足音が近づいてきて、
「ただいま!!
ハナちゃん!!」
夜なのに、太陽みたいな笑顔のカズマが帰ってきた。
「おかえりなさい。」
「ただいまぁ!」
近づいてくるから思わず、
「手洗いうがいが先だよ?
また熱出たら困るんだから。」
「う、わかった…。」
洗面所へ飛んでいく。
翔太と見合って、苦笑いする。
「カズマは、ビール飲む?」
台所から問いかけると、
「ビール飲む!」
元気な声が聞こえる。
疲れてるのか、空元気なのか、それはそれで心配だけど。
冷蔵庫をのぞいていると、後ろから思い切り抱きしめられた。
「!?」
「ハナちゃん、間に合ってよかった…。」
「ちょ、っと!」
腕から逃れようともがく。
「年越しは絶対一緒にしたいから、無茶苦茶いそいで帰ってきた!」
「充分間に合ってるから…。」
翔太に冷やかされる前に、離して欲しい。
「え、そんなに嬉しくない感じ?」
「う、嬉しいけど、とりあえず離して?」
「仕方ないなぁ。」
パッと解放されて、ひょいっと缶をひとつ奪われた。
「乾杯しよ?」
「うん。」
カズマと缶を合わせた。
「おつかれさま。」
「ありがと。
ハナちゃんも、おつかれさま。」
「ありがと。」
居間に戻ると、翔太がうたた寝をしていた。
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