第9章

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ズルい。 なのに、やっぱり断れない。 「…いいけど。」 「じゃあ、寝る準備しよっか!」 「うん。」 順番にシャワーを浴びて、居間でいつもみたいにカズマが髪を乾かしてくれた。 ドライヤーのコードをまとめながら、 「ハナちゃん、試験終わったら、旅行しよ?」 「うん?」 「試験終わったら、少し時間作れる。 ハナちゃんは仕事どう?」 「バレンタインより前か、バレンタインの後ならわりと都合つくと思う。 」 「じゃあ、そのあたりに休み合わせよう。」 「うん。」 「ハナちゃんの布団、運ぼっか。」 「うん。」 居間の電気を消して、階段を上がる。 カズマが小さく、「お邪魔しまーす」と私の部屋に入る。 布団を抱えると、自分の部屋へ向かう。 私も枕や毛布を持って、後を着いていく。 バサバサ布団を敷くカズマを手伝いながら、緊張というか戸惑いというか…。 「ハナちゃん?」 「ん?」 「寝るなら布団に入ってからね?」 「ね、寝てないよ!」 「あはは、そう?」 …カズマは、どう思ってるのだろう。 つき合っていても、毎日ふれ合うわけではないだろうし、積極的にそういうことを望んでいるわけでもない。 でも、カズマは? もしかして、私にそういうことを、求めているわけではない…? 「オヤスミ。」 布団に潜りこみながら、なんてことを考えているんだろう。 カズマには悟られないように、頭まで布団をかぶる。 「えええ? ハナちゃん?」 カズマがぐいぐい布団をめくる。 「な、なに?」 「こっち、来ないの?」 自分の布団を指差す。 「い、行かないよ!」 なんとか布団を死守して、顔を隠す。 「やだ。」 「!?」 ぐっと敷布団を引き寄せて、カズマが隣に横になる。 「ハナちゃん。」 「…ぐー。」 「どんな下手な寝たフリ?」
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