第9章

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ソッと、頭を撫でられた。 「そんなに警戒しなくても、大丈夫だから。」 「け、警戒してるわけじゃないよ。」 「え、少しは警戒してよ?」 「どっち!?」 「あはは、冗談だよ。」 そう言って笑いながら、照明を暗くして横になっている。 「手くらいは、繋いでくれる?」 布団から顔半分出して、隣を見る。 カズマは横向きに自分で腕枕しながら、こっちを眺めている。 「…いいよ。」 そっと手を出したら、キュッと掴まれて、ぐいっと引き寄せられた。 「!?」 アッサリ捕獲されて、カズマの布団の中に入ってしまった。 「ハナちゃん、温かい。」 そっと腕の中に包まれる。 「カズマの方が、温かいよ。」 「そ?」 「おやすみ。」 「オヤスミ。」 緊張はしているのに、温かさと疲れと酔いで、すぐに睡魔におそわれる。 油断しすぎというか、緊張感がないというか…。 呆れられちゃうのかな。 目が覚めた時には、隣にはカズマはいなかった。 それが少し寂しい。 昨日もうちょっとがんばって起きてられたら良かったな。 部屋を出て居間へ向かうと、ソファで翔太がうたた寝をしている。 昨日から置きっぱなしになっていた毛布をかけようとしたら、目が合った。 「起こしちゃった?」 「ううん、マジで寝てたわけじゃないから。」 「そう?」 「ゆっくり眠れた?」 「うん。」 時計を見ると、もうお昼が近くてびっくりする。 「初詣でも行きたいところだけど、カズマすねたら困るか。」 「ははは。」 「腹減ってない? 雑煮作ったけど、食べる?」 「うわぁ!嬉しい!」 「じゃ、着替えて顔洗っておいで?」 「うん。」 カズマは今日も帰りが遅いのかなぁ。 明日も仕事かな。 初詣には行けるかな…。 顔を洗ってから、部屋へ戻って、パーカーのワンピースを着る。 部屋着だな。
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