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「ハナさん、お餅はいくつ食べる?」
「ふたつ!」
「了解。」
台所にいる翔太の隣に立つ。
湯気がのぼるお鍋からは、しょうゆのおつゆのいい香りが漂う。
コンロにのせた焼き網の上で、お餅が香ばしい匂いをさせながら、ぷわーっとふくれる。
「幸せなお正月だ。」
「えー?」
「翔太はおうちに顔出さなくていいの?」
「あとでちょっと行こうかと思うけど。
ハナさんも、一緒に行く?」
「えええ?
そんなご迷惑なこと、できないよ。」
「迷惑じゃないって。
親戚とか来たりするわけじゃないから、賑わってないよ。」
話ながら、焼けたお餅をお椀へ入れて、おつゆを注ぐ。
赤と白のなるとが見えた。
お椀をお盆に乗せて運ぶ後ろを、追いかける。
「はい、箸。」
「ありがと。」
お椀の中をのぞくと、お花の形に切ったニンジンも入っている。
「いただきます。」
「いただきます。」
手を合わせて、箸を掴む。
「おいしい~!」
「お口に合って良かった。」
「なんか、ホッとする。」
「そ?
雑煮って地域によっても色々違うみたいだけど、家庭によって全然違うから。」
「そうみたいだよね。
うちもこんな感じだよ?」
「そうなんだ。
そういえば、ハナさんは実家に行かなくていいの?」
「…あ。」
すっかり忘れてた。
「行ってきたらいいんじゃない?
送ろうか?
軽トラだけど。」
「ありがとう。
翔太も実家でのんびりしておいでよ?
私も顔くらい出してこようかな。」
「夜ご飯は実家で食べる?
うちで食べる?」
うちで食べるとなると、自分で用意するっていっても、翔太も気をつかうかな。
「実家でなにか食べてくるよ。
カズマは遅いのかな?」
「どうだろう。
あ、帰り暗くなるから、駅まで迎えに行くから連絡して?」
「大丈夫だよ。」
「ダメだって。」
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