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週末が近づいた頃。
いつものように仕事を終えて、大将の店へ向かう。
翔太は休みも終わって、魚やさんと居酒屋の手伝いで忙しそうに過ごしている。
カズマは、美容室の仕事は通常に戻ったとはいえ、通常が忙しいから大変だ。
そして更に試験へ向けての追い込みもしているみたい。
自分でまとめたらしい、小さなノートをズボンのポケットに押し込んで、仕事をしながらブツブツなにか呟いている。
「カズマ、私明日休みだよ。」
「ほんと?
たぶん早番で終われるから、カレンダー選びに行こう。」
「うん。」
ビールを運んできた翔太が、
「カレンダーなら、ここにもうちにも、残ってるけど?」
意地悪な表情で言う。
「気に入ったのがなかったら、あきらめて使うけど。」
カズマは不満そう。
ふくらんだ頬を、指で軽くつつく。
「駅前とかデパートのあたり見てるから、仕事終わったら連絡ちょうだい?」
「わかった。」
街中はまだまだセール中らしいから、たまにはウインドウショッピングってやつでもしようか。
旅行用に新しい下着でも見てこようかな。
って!!
ミユキとの旅行だから。
カズマじゃないから。
そういうのじゃないから。
自分で自分にツッコミを入れたくなる。
落ち着け、私。
ついでに本屋さんで、図鑑も見てこようかな。
亮太郎くんに…。
いや、急にプレゼントなんてされたら迷惑かな。
それに、誕生日にカズマがくれた図鑑だから、大切にしているのかもしれない。
考えすぎると、身動きが取りにくくなる。
楽しさに浮かれすぎて、周りが見えなくなっちゃダメだな。
「ハナちゃん?寝てるのー?」
「起きてるよ!」
「眉間にシワ。」
「だから、シワとか言わないでってば。」
眉間を指で優しく撫でられた。
カズマがふわりと微笑む。
可愛いな、バカ。
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