第9章

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「もう! 気にしなくていいのに。 ありがたく、いただきます。」 そう言って受けとると、少しだけホッとした表情になった。 店員さんがカフェオレを運んできて、少しの間の後にユキちゃんが口を開いた。 「聞きましたよね? 私…。」 「うん、聞いた。」 どんな顔をすればいいんだろう。 だけど、今すごく思うのは、あの時思うことを吐き出せて良かった。 もしそうじゃなかったら、私が当事者みたいな気持ちになって、翔太の代わりみたいな間違えた使命感で、話をしてしまったかもしれない。 誰もそんなこと、望んでないのに。 「なんであんなこと言っちゃったんだろうって、すごく後悔してます。」 「…そっか。」 「…怒って、ますよね?」 「へ?」 「え?」 怒ったというか、不快に思って、疑問にも思ったけれど、じゃあユキちゃんを怒るかと言われたら…怒らない。 怒るとかそういう立場じゃないよ。 「うーん、本人同士の問題だから…。」 突き放したみたいかな。 どうしたらいいのかわからない自分が、情けない。 「…聞いてもらえますか?」 「う、うん。」 ポツリポツリと、ユキちゃんは話を始めた。 「小さな頃から、ずっとずっと翔太くんのことが好きで、今は色々あったとしても、きっと将来は翔太くんと一緒にいるんだろう、って。 翔太くんの気持ちなんて考えずに、ずっとそう思ってました。」 「…。」 「だけど、離れてる時間が長すぎて、翔太くんのことを忘れていることもありました。」 「…。」 「他の男の子に優しくされて、嬉しかったのも嘘じゃなくて…。 地元に戻りたくないって言っているうちは、自由にしていられるとも思ってました。」 「…。」 「他の男の子と恋しても、それでも翔太くんのところに戻れる、なんて思ってて…。」 「…。」 「けど、そんなの私のわがままでした。」
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