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後ろからカズマの声が聞こえて、振り向く。
「お待たせ。」
仕事が終わったと連絡が来たから、本屋さんにいると答えてから、数分で到着したから、大分慌てたんだろうな。
「おつかれさま。」
そんなに急がなくてもいいのに、なんて思うけれど、私も大将の店まで走りたいくらいの時もあるから、わからないわけじゃない。
「どこか見た?」
「大体巡って来ちゃったかな。」
「そっか。」
「でも、本屋さんは見てないから、一緒に見てみよう?」
「うん。」
去年使っていたカレンダーは、可愛かったのだけれど、予定を書き込む欄が少し小さかった。
ひとり分なら、もちろん充分なスペースがあるけれど、3人分の予定が重なるとちょっと足りない。
「ねこ、可愛い。」
「そうだね。
こっちのは?」
可愛いキャラクターのカレンダーを、カズマが手に取る。
「可愛いのたくさんあるね。
けど、書き込む欄がなぁ。」
「そうだね。」
「やっぱり、翔太のお店のカレンダーがちょうどいいんじゃない?」
「やっぱり?」
「うん。
あ、でもこのシール貼ったら可愛くなりそうだから、これは買っちゃおう。」
「そうだね。」
笑顔で手を差し出している。
シールを受けとる気だろうけど、
「買ってくるね。」
「いいよ、オレが…。」
「あ、カズマは旅行の雑誌でも見ててよ?」
「…了解。」
レジを済ませて、雑誌コーナーに向かう。
すっかり見慣れてしまったけれど、髪の色はずっとこのままにするつもりなのかなぁ。
そう思いつつ、カズマの隣に並ぶ。
「こういうところにも、行きたいね。」
開いたページを差し出されて、のぞきこむ。
有名なテーマパークの特集らしい。
「そうだね。
遠くてなかなか行けないよね。」
「だよね。」
雑誌をそっと戻して、どこへともなく足を進める。
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