第9章

47/51
前へ
/670ページ
次へ
「ご飯、どこで食べる?」 「大将のところは?」 「たまには、別の店に行ってみない?」 「うん、いいよ。」 大将のお店も、カズマの料理も大好きだけど、他のお店に行くことも、楽しいしきっと勉強になることもあるんだろうな。 「近場の情報が欲しいけど、なかなか雑誌には載らないね。」 「そうだね。 ハナちゃんは、旅行どのあたりに行きたい?」 「仕事終わってから出発となると、できれば移動時間は短い方がいいよね。」 「そう? って、さすがに飛行機使う距離は無理だけど、ちょっと遠くても大丈夫だよ?」 ジッと、カズマを見つめる。 移動時間が長いと、余計に疲れちゃうかもしれないのに。 「ん?」 「…なんでもない。 あ、ミユキと泊まるのは、近くの温泉旅館なんだよ。」 「そうなんだ。」 「地元っていうのも、なかなか泊まる機会がなかったから、新鮮でいいかも。」 「そうだね。」 旅行って、計画を立て始めた時からもう楽しいから不思議。 「このお店は?」 ふと通りかかった、洋風居酒屋の看板が目に止まる。 「いいよ。」 お店に入ると、半分くらい席は埋まっていたけれど、カウンター席をお願いして、案内された。 カウンター席は落ち着かないと思っていた時期もあったけれど、店員さんの動きが見えて、時々為になるような話を聞かせてもらえることもあるから、今は好き。 「ワインがたくさんあるね。」 並んでメニュー表を眺める。 「ハナちゃんはワインにする?」 「うん。 カズマは?」 「オレもワインにしようかな。」 グラスで頼めるらしいから、飲み比べもできそう。 白いワインと、サラダや、ミニチーズフォンデュを注文した。 「乾杯。」 「乾杯。」 ひとくち、ワインを飲んでから、 「今日、ユキちゃんに会ったよ。」 チラリとカズマの横顔を見る。 「そっか。」
/670ページ

最初のコメントを投稿しよう!

514人が本棚に入れています
本棚に追加