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「うん。」
「亮太郎くんが図鑑を取りにきたときに、レンさんの方を見て、ぱぱ?って呟いたように聞こえて…。」
「…。」
「あ、聞き違いかもしれないし、普通に間違えただけかもしれないから…。」
「気、使わせてごめんね。」
困った笑顔を向けられた。
「ううん。」
「リョウはわかってるのかも。」
「?」
「姉ちゃんはなにも言わないけど。
レンさんは気づいてなかったけど、姉ちゃんがレンさんを好きだったのも、バカみたいにわかりやすかったんだよね。」
「…。」
「好き同士でも、タイミングが違えば、一緒にいられないんだって、その時に思った。」
「…。」
「オレが高校生ってだけで、ハナさんにフラれるのは嫌だって思ったけど、ハナさんにカレシってのがいるから、やっぱりフラれるんだって思って、すげぇ苦しかった。」
「??」
「ハナちゃんが結婚するかもってなった時も、どうしていいのかわからないけど、なにもできないって思った。」
「…。」
「おんなじ高校生だったら、なんてどうしようもないことを、何度も何度も考えたよ。」
「…カズマ。」
「誰も不幸になりたいなんて思ってないのに、その時にかみ合った歯車が、自分の意思とは違う方向へ進んでいくこともあるな、って。」
「…。」
「って、それも自分が選んだ道って言えば、それまでなのかもしれないけど。
そんなに切ないものなのかな、って。」
「…。」
「もしかしたら、ハナちゃんのモトカレシってやつと、そのままうまくいった方が、ハナちゃんの幸せに繋がってるのかもしれない…とか?」
「カズマは、その方が良かったって思う?」
「思わないよ。
だけど、ハナちゃんの選択肢は…。」
「私も思わないよ。」
「?」
「あの時、すごくショックだった。
けど一番強く思ったことは、私なにやってたんだろう、って。」
「…。」
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