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「ケイトくんと結婚したら、もう大将のお店には行けなくて、カズマや翔太にも会えなくなって。
カズマのご飯も食べられないって思ったら、すごくすごく苦しかった。」
「ハナちゃん。」
「ケイトくんとの生活も、私には苦しいことが多くて、ミユキにもめちゃくちゃダメ出しされてたの。」
「そうなの?」
「自分の家なのに、居心地が悪くて帰りたくなくて。
一緒に暮らす自信もどんどん無くなって。
そこまでしてでも、彼氏って存在があるのとないのは全然違うと思ってた。」
「…。」
「きっと、どんな選択をしても、後悔することって何度もあるんだと思う。」
「うん。」
「だけど、後悔したとしても、それは自分が決めたこと、って思える後悔がいいな。」
「…そうだね。」
「涼子さん、すごくキレイな人だなぁって思ってたけど、母の強さとか優しさが、キラッキラしてて、更にキレイだなぁって思った。」
「え、強いってとこだけは、否定しないけど。」
「亮太郎くん、ほんっと可愛いね。」
「ありがと。」
「図鑑すごく大事にしてたね。」
「うん。」
「…帰りたくなっちゃうね。」
チラリとカズマを見上げると、
「そうだね。」
ふわりと微笑んだ。
カズマと会えなくなるような選択をしなかったことに、心からホッとする。
もし、あの時…。
そう考えてしまうことはある。
だけど、何度考えても、これが最良の選択だったと思う。
全ての選択を、後悔せずに選べるわけじゃない。
何度も何度も、間違える。
このメニューだって、迷って選んだものが、思ってたものと違って、もうひとつの方にすれば良かったと思うことも、間違いのひとつになるかもしれない。
そうやって、小さな間違いをくり返しながら、大きな決断を迫られた時には、間違えないように…。
そして、間違えたとしても、そこで終わりじゃない。
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