第9章

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「ケイトくんと結婚したら、もう大将のお店には行けなくて、カズマや翔太にも会えなくなって。 カズマのご飯も食べられないって思ったら、すごくすごく苦しかった。」 「ハナちゃん。」 「ケイトくんとの生活も、私には苦しいことが多くて、ミユキにもめちゃくちゃダメ出しされてたの。」 「そうなの?」 「自分の家なのに、居心地が悪くて帰りたくなくて。 一緒に暮らす自信もどんどん無くなって。 そこまでしてでも、彼氏って存在があるのとないのは全然違うと思ってた。」 「…。」 「きっと、どんな選択をしても、後悔することって何度もあるんだと思う。」 「うん。」 「だけど、後悔したとしても、それは自分が決めたこと、って思える後悔がいいな。」 「…そうだね。」 「涼子さん、すごくキレイな人だなぁって思ってたけど、母の強さとか優しさが、キラッキラしてて、更にキレイだなぁって思った。」 「え、強いってとこだけは、否定しないけど。」 「亮太郎くん、ほんっと可愛いね。」 「ありがと。」 「図鑑すごく大事にしてたね。」 「うん。」 「…帰りたくなっちゃうね。」 チラリとカズマを見上げると、 「そうだね。」 ふわりと微笑んだ。 カズマと会えなくなるような選択をしなかったことに、心からホッとする。 もし、あの時…。 そう考えてしまうことはある。 だけど、何度考えても、これが最良の選択だったと思う。 全ての選択を、後悔せずに選べるわけじゃない。 何度も何度も、間違える。 このメニューだって、迷って選んだものが、思ってたものと違って、もうひとつの方にすれば良かったと思うことも、間違いのひとつになるかもしれない。 そうやって、小さな間違いをくり返しながら、大きな決断を迫られた時には、間違えないように…。 そして、間違えたとしても、そこで終わりじゃない。
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