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クリスマスに次ぐイベントといえば、バレンタインだ。
2月に入るとすぐにバレンタイン向けの商品を店頭に並べる。
小さなチョコやクッキーを、好きに詰め合わせることもできるコーナーは、毎年人気がある。
その他にも、たくさんのチョコレートが並ぶ。
「この時期は、ほんっと幸せ。」
「一華先輩、チョコ好きですよね。」
「うん、好き。」
「カズマさんには、手作りするんですか?」
「へ?」
「まさか…また忘れてるわけじゃないですよね?」
まみちゃんの声に気づいた子達が、そっと近づいてきた。
「一華先輩、チョコあげないんですか?」
「しっかりしてください!
カズマさん絶対待ってますから!」
「うちの一番いい商品を…。」
「わ、忘れてないって。」
そう答えてみたけれど、考えてなかった。
とは言っても、手作りする自信もないし、たぶん忙しいであろうバレンタインの時期に、慣れないことにチャレンジする勇気も余裕もない。
「カズマさん、去年おっきな紙袋ふたつも抱えてましたよね。」
「バレンタインに合わせて、予約取る人も
いるとか聞きましたよ?」
この子たちは、どうしてそんなに色々なことを知っているのかと不思議に思う。
「一華先輩?」
呆気に取られてしまった。
「とりあえず、仕事しよっか。」
「はぁい。」
それぞれ持ち場に戻っていく。
あれ?
去年まではどうしてたんだっけ?
元カレって人には、大きめのチョコの詰め合わせをあげていた。
お父さんは昔から楽しみにしているから、間に合うように郵送の注文をしていた。
去年、去年…。
ぼんやりと思い出したのは、大将のお店に詰め合わせを持っていったこと。
カズマや翔太には、小さいチョコをはいって渡したくらいだったような…。
去年と今では、状況が違うとはいえ、もう少し気を使っても良かったのかもしれない。
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