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「駅前のデパートでも扱ってますよね?」
「はい。」
「これひとつお願いします。」
「ありがとうございます。
こちらへどうぞ。」
商品を持って、レジへ案内する。
「ご自宅用ですか?
プレゼント用ですか?」
そう聞くと、テレた様に微笑んで、
「プレゼント用にお願いします。」
「かしこまりました。」
好きな子へのプレゼントかなぁ。
男の子からチョコを渡すって、可愛くて羨ましいかも。
「…変ですよね。
男なのに、チョコ渡すなんて。」
ポツリと呟くいた。
「そんなことないと思います!!」
力がこもってしまった。
目を真ん丸にして、驚いている。
「ステキだと思います。
きっと喜んでくれますよ!」
だって、こんなに早く買いに来たってことは、どうしてもプレゼントしたいってことだから。
それに、この商品は人気でデパートでは早くに売り切れてしまうらしい。
うちの店では、出来るだけ多く用意しているけれど、それでも閉店間近になると、売り切れてしまう。
「ありがとうございます。」
ニッコリ笑って、帰っていった。
私がクリスマスだけじゃなくて、バレンタインも好きなのは、こんな風にステキな思いのおすそ分けをいただけること。
誰かを思って選ぶって、見ているこちらまで幸せな気持ちになる。
ふわふわした気持ちのまま、家へ帰る。
「ただいまぁ。」
「おかえり。」
「あれ?カズマ!
早いね?」
翔太は大将の店の仕事をしているだろうけれど、カズマが帰っているとは思わなかった。
「試験前だからね。」
「あ!そうか。
え、っと、カツ丼とか作ろうか?」
「あはは。」
「ご飯は?食べた?」
「一緒に食べようと思って、待ってた。」
そう言うと、参考書をパタンと閉じて立ち上がった。
「私やるよ。」
「温めるだけだから、着替えておいで。」
「…ありがとう。」
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