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着替えて戻ると、ほかほかの肉じゃがが器に盛られている。
「おいしそう~。」
「食べよ。」
「うん!」
ほくほくのおいもに、味が染みていておいしい。
「ハナちゃんは仕事忙しいんでしょ?」
「うん。
でもカズマも忙しいんだよね?」
「バレンタイン前は、気合い入る女の子も多いからね。」
身だしなみを整えようと思った時に、まずは髪の毛って思うからなぁ。
「…去年、たっくさんチョコもらったの?」
気になるわけじゃないけど、気にならないわけでもない。
「あー…うん。」
「そっか。」
事実確認をしてどうするんだろうと、自分で自分がわからない。
「試験、がんばってね。」
「ありがと。」
うやむやになってしまった。
去年はそういう間柄じゃなかったし、そんなこと気にしても仕方ないのに。
私、変。
カズマの試験のことも気になったけれど、カズマはカズマで忙しいらしく、それから、バレンタインまでは、すれ違いの日が続いた。
寒さと忙しさも重なって、体調を崩してしまった子の、お休みのフォローと、いつもよりラッピングも増える。
バレンタイン前に忙しさが落ち着くお店もあるみたいだけど、うちは駆け込みのようなお客様が増える。
買い忘れていただけか、今日やっぱり想いを伝えるためにチョコを渡そうと決意して、慌てて来られたのか、それはわからないけれど。
「やっぱり今年も売り切れちゃいましたね。」
まみちゃんが、プライスを片付けながら言う。
あのスーツの男の子、早めに買っておいて良かった。
…渡せたのかなぁ?
ふと、思い出す。
「そうだね。」
「で、一華先輩はカズマさんにはなにをあげるんですか?」
「うーん。」
一応、チョコの詰め合わせは買ってある。
「チョコと一緒に、私を食べて、なんてしちゃえばいいじゃないですか。」
ニヤニヤしている。
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